2014年7月16日、米消費者金融保護局(CFPB)は、金融商品やサービスに関する苦情を集め、一般に公開しているデータベースの内容として、新たに消費者の「体験談」を追加すると発表した。
従来から消費者は金融サービスに関する苦情をCFPBに訴えることができた。CFPBは消費者の苦情をサービス提供者である企業に送り、苦情の内容と企業の対応状況とを合わせて公開している。その件数はこれまでに実に40万件を超えている。しかし、データベースに登録できる項目はCFPBによってあらかじめ定められているため、消費者はどれほどひどい目にあったとしても、言葉を重ねて伝える術はなかったのである。
今回発表されたCFPBの新しい方針では、こうした消費者のイライラがかなり改善されることになる。消費者は苦情を登録する際にテキストボックスに体験談を自由に書くことができる。さらに、テキストボックスだけではとうてい表現できないほど酷い仕打ちを受けた際には、ドキュメントを添付することも可能だ。
一方、矢面に立たされる企業はどうなるかというと、消費者の「体験談」に対して、こちらも「対応談」を書くことができるようになる。宿泊者のクレームに対してホテル側が改善を約束するなど、口コミサイトでお馴染みの消費者と企業との双方向の対話が金融サービスについても可能となる。ローンやクレジットなどについて「体験談」と「対応談」とが対で公開されている様は、まるで金融サービス版トリップアドバイザーのようだ。
CFPBは今回の新方針の狙いとして以下の4点を挙げている。
データをできる限りオープンにすることこそが、企業間のフェアな競争と顧客満足のさらなる向上をもたらすとCFPBは確信している。その点については私もまったく同感だ。ただ、企業が決してほめられることがない、という点では少々気の毒な気もする。
参考: CFPB Proposal Would Give Consumers the Opportunity to Publicly Voice Complaints About Financial Companies (CFPB, 2014/7/16)
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