2014年6月、オープンデータがG20の経済成長を強力に後押しするという調査レポート"Open for Business: How Open Data Can Help Achieve the G20 Growth Target"が発表されました。G20におけるオープンデータの経済効果は5年間で13兆ドルにも上ると推定されています。レポートはコンサルティング企業であるラテラル・エコノミクスがオミダイア・ネットワークから委託を受け作成したものです。
これまでオープンデータの市場規模や経済効果については、さまざまな数値が発表されてきましたが、信頼性という点ではやや問題がありました。今回のレポートは、G20が掲げるGDPの2%成長という目標を達成するために、オープンデータの貢献度は55%にも上ると結論付けるなど、数値が具体的で非常に優れた内容となっています。
"Open for Business"で最も重要な点は、政府機関だけでなく、民間企業もデータ公開しデータエコシステムを構築することが必要だと指摘していることです。データホルダーとしての公的機関、データユーザーとしての民間企業という従来のステレオタイプな位置付けではなく、政府も民間もデータを公開することで経済はより活性化することを強調しています。レポートでは、オープンソースを例として取り上げ、同様の効果が民間企業のデータ公開によっても起こるとしています。
オミダイア・ネットワークとは、あのeBayの創始者のピエール・オミダイア夫婦が設立した団体です。団体の目的は、フィランソロピー、つまり他の人々の生活向上に資することです。営利企業でも非営利企業でも、フィランソロピーを追求することは可能であり、むしろ本来そうあるべきだと、オミダイア・ネットワークは考えています。
「"Open for All"な社会を目指し、民間企業もデータ公開を進めよう」、これがレポートを通じたオミダイヤ・ネットワークからのメッセージではないでしょうか。
参考: Open for Business: How Open Data Can Help Achieve the G20 Growth Target
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川島宏一 (土曜日, 21 6月 2014 14:55)
素晴らしいご紹介記事ありがとうございます。あらゆる部門が知識のオープン化に動いていることの背景には、知財をオープンにすることによって失われる利益よりも、オープンにすることによって得られる様々な利益の方が長期的には大きいということを、誰もが気づき始めていることがあると思っています。